
成年後見「終身制」を廃止 改正民法が成立、柔軟な制度に転換
出典: 毎日新聞 (原典を開く)
ニュース概要
認知症や知的障害などで判断能力が十分でない人らを支援する成年後見制度を見直す改正民法が17日、参院本会議で可決、成立した。一度利用を始めると判断能力が回復しない限りやめられない「終身制」を廃止し、ニーズに応じて支援の内容や期間を決める「オーダーメード型」に改める。2000年から始まった制度の転換点
解説
認知症や知的障害など、何らかの理由で物事を判断する力が十分でない人を支える「成年後見制度」が、大きく変わることになりました。これまでは、一度この制度を利用し始めると、基本的に本人の判断能力が回復しない限り、ずっと利用し続ける「終身制」でした。しかし、今回成立した改正民法によって、利用者の状況や必要に応じて、支援の内容や期間を柔軟に決められる「オーダーメード型」へと転換します。
この制度は2000年に始まりましたが、その運用の中で「一度利用するとやめられない」という点が、時に利用者の自立を妨げたり、家族の負担になったりするケースも指摘されてきました。例えば、軽度の認知症で一時的に判断能力が低下した人が、回復しても制度から抜け出せない、といった状況です。また、本人が望まない後見人が選任されてしまうといった問題もありました。
新しい制度では、例えば「財産管理だけを一時的にサポートしてほしい」とか、「特定の契約を結ぶときだけ助けてほしい」といった、利用者の具体的なニーズに合わせて、支援の範囲や期間を細かく設定できるようになります。これは、まるで洋服を既製品で買うのではなく、自分の体にぴったり合うように仕立ててもらうようなイメージです。利用者の「自己決定権」を尊重し、できる限り本人の意思を反映させようという考え方が強くなっています。
なぜ今、このような見直しが必要になったのでしょうか。背景には、高齢化社会の進展があります。認知症の高齢者が増える中で、多様な状況に対応できる柔軟な支援が求められるようになりました。また、デジタル社会の進展により、財産管理や契約の種類も複雑化しており、一律の制度では対応しきれない場面が増えてきたことも影響しています。今回の改正は、単に制度が変わるだけでなく、支援を受ける人の尊厳を守り、より自分らしい生活を送れるようにするための大きな一歩と言えるでしょう。これまでの「お任せ」から「選べる」制度へ、社会全体の意識も変わっていくことが期待されます。
関連データ
今後の予測
今回の改正により、成年後見制度はより利用者の個別の状況に合わせた柔軟な運用が可能になります。一つのシナリオとしては、利用者が一時的な支援を気軽に求めやすくなり、制度の利用者が増加する可能性があります。特に、軽度の認知症や一時的な精神疾患で判断能力が低下した人が、早期に支援を受けやすくなるでしょう。
別のシナリオとしては、制度の複雑化が懸念されます。オーダーメード型になることで、どのような支援が必要か、期間はどうするかといった判断が難しくなり、専門家によるきめ細やかなアドバイスがこれまで以上に重要になります。弁護士や司法書士などの専門職後見人の役割がさらに拡大し、その質の確保が課題となるかもしれません。
また、家族による支援が増える可能性も考えられます。これまで終身制であったため、家族が後見人になることをためらうケースもありましたが、期間や範囲が限定されれば、家族がより積極的に関与しやすくなるかもしれません。一方で、家族間の意見の対立や、家族に過度な負担がかからないような支援体制も同時に求められるでしょう。制度の周知と、利用者や家族が安心して利用できる相談体制の構築が、今後の成功の鍵となります。
ニュースタイムライン
2026年6月17日
成年後見は「権利の否定」だったのか 法改正で迫られる意識改革毎日新聞
2026年6月17日
「デジタル遺言」新設 相続手続きの円滑化図る 改正民法成立毎日新聞
2026年6月17日
インサイド霞が関:「死ぬまで継続」廃止へ 成年後見制度見直し 背景に単身世帯増毎日新聞
2026年6月17日
「終われる成年後見」へ 改正民法成立 本人支援の体制づくりが課題朝日新聞デジタル
2026年6月17日
成年後見制度を見直す法改正 今の利用者はどうなる?今後の課題は?朝日新聞デジタル
2026年6月17日
認知症1000万人時代 変わる成年後見制度 浮かぶ新たな課題毎日新聞
参考引用
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