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国内2026/6/17 12:30:00
「終われる成年後見」へ 改正民法成立 本人支援の体制づくりが課題

「終われる成年後見」へ 改正民法成立 本人支援の体制づくりが課題

出典: 朝日新聞デジタル (原典を開く)

ニュース概要

認知症や知的障害などで判断能力が十分でない人をサポートする成年後見制度を抜本的に見直す改正民法が6月17日、成立した。1度使い始めたら事実上「終身」となる仕組みから、必要がなくなれば利用をやめられる…

解説

皆さんは「成年後見制度」と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか?もしかしたら、少し堅苦しい、あるいは自分には関係ない話だと思っている人もいるかもしれませんね。でも、実はこの制度、私たちの親や祖父母、あるいは将来の自分自身にも関わる、とても大切な話なんです。

今回、長年の課題だった成年後見制度が大きく変わることになりました。これまで一度この制度を使うと、なかなか抜け出せない、まるで「終身刑」のような側面がありました。例えば、認知症の症状が一時的に改善したり、障害のある方が支援を受けながら自立できるようになっても、制度を止められないというケースがあったのです。これでは、本人の意思を尊重し、社会参加を促すという制度本来の目的から少しずれてしまっていました。

今回の民法改正で目指すのは、この「終身」というイメージをなくし、必要な時に必要な支援を受け、不要になれば制度を終えられるようにすることです。これは、本人の「自己決定権」を尊重する、という考え方が背景にあります。私たちは皆、自分の人生を自分で決めたいと願うものです。判断能力が十分でない状況にあっても、その願いは尊重されるべきですよね。今回の改正は、そんな当たり前の権利を、より制度に反映させようとする動きなんです。

具体的には、後見人が選ばれる基準を見直したり、本人の状況に応じて支援の内容を柔軟に変えられるようにしたりする方向性が示されています。例えば、今は「全か無か」のような形で後見人がつくことが多いですが、これからは「この部分だけサポートが必要」といった細やかな支援がしやすくなるかもしれません。また、本人が自分の意思を表明できるような支援(意思決定支援)を重視する点も大きな変化です。これは、単に本人の財産を守るだけでなく、本人の「こうしたい」という気持ちを汲み取り、それを実現するための手助けをしよう、という考え方です。

しかし、制度が変わっただけでは不十分です。実際に現場で、この新しい制度をどのように運用していくかが、これからの大きな課題となります。例えば、本人の意思をどうやって確認するのか、一時的に判断能力が回復した時に、制度を終えるための手続きはスムーズに進むのか、といった点です。これには、後見人となる人たちの専門性の向上はもちろん、地域全体で本人を支えるネットワークの構築が不可欠になります。医療機関や福祉施設、弁護士、司法書士といった専門家だけでなく、地域の住民も一体となって、困っている人を支える「チーム」のような体制が求められているのです。

今回の改正は、単なる法律の変更にとどまらず、社会全体で「どうすれば誰もが自分らしく生きられるか」を問い直すきっかけになるでしょう。私たち一人ひとりが、この制度について考え、理解を深めることが、より良い社会へと繋がっていくはずです。

関連データ

成年後見制度の利用者数
約24万人(2022年末時点)
出典:最高裁判所事務総局家庭局
利用者増加の背景
高齢化の進展に伴い、認知症患者が増加していることが主な要因
出典:厚生労働省
制度利用のきっかけ
親族からの申し立てが約7割を占める
出典:最高裁判所事務総局家庭局
後見人等の種類
親族が約2割、弁護士・司法書士などの専門職が約8割
出典:最高裁判所事務総局家庭局
今回の改正の目的
本人の意思決定支援の強化、利用の柔軟化(利用開始・終了の弾力化)
出典:法務省

今後の予測

今回の改正は、成年後見制度の運用に大きな変化をもたらす可能性があります。まず、最も期待されるシナリオは、本人の意思がより尊重され、その時々の状況に応じた柔軟な支援が実現することです。これにより、制度を利用するハードルが下がり、必要な人がためらわずに支援を受けやすくなるでしょう。また、利用の終了が可能になることで、本人の自立を促し、社会参加への道が開かれるケースも増えるかもしれません。

一方で、課題も少なくありません。例えば、現場での運用体制が十分に整わない場合、せっかくの改正の趣旨が活かされない可能性があります。特に、本人の意思を適切に把握し、それを支援に反映させるための専門的なスキルを持つ人材の育成や、地域における多職種連携の強化が急務となります。もし、これらの体制整備が遅れれば、制度の終了が適切に判断されなかったり、かえって手続きが複雑化したりするリスクも考えられます。

さらに、制度の柔軟化が進むことで、後見人の責任範囲や役割がより複雑になる可能性もあります。専門職後見人の負担が増大したり、親族後見人が適切な支援を提供するための情報やサポートが不足したりすることも懸念されます。将来的には、AIなどのテクノロジーを活用して意思決定支援を補完する仕組みや、市民後見人育成のさらなる強化など、多角的なアプローチが求められるでしょう。今回の改正は「終われる成年後見」への第一歩であり、その真価はこれからの社会全体での取り組みにかかっています。

ニュースタイムライン

  1. 2026年6月17日

    成年後見は「権利の否定」だったのか 法改正で迫られる意識改革

    毎日新聞

  2. 2026年6月17日

    成年後見「終身制」を廃止 改正民法が成立、柔軟な制度に転換

    毎日新聞

  3. 2026年6月17日

    「デジタル遺言」新設 相続手続きの円滑化図る 改正民法成立

    毎日新聞

  4. 2026年6月17日

    インサイド霞が関:「死ぬまで継続」廃止へ 成年後見制度見直し 背景に単身世帯増

    毎日新聞

  5. 2026年6月17日

    成年後見制度を見直す法改正 今の利用者はどうなる?今後の課題は?

    朝日新聞デジタル

参考引用

「終身」となる仕組みから、必要がなくなれば利用をやめられる

朝日新聞デジタル

本人支援の体制づくりが課題

朝日新聞デジタル
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