
増加するインバウンド、災害時の対策万全か 避難先の確保や情報空白に不安 首都直下地震
出典: 産経新聞 (原典を開く)
ニュース概要
首都直下地震では訪日中の外国人客(インバウンド)も被災者となる。国は令和12年までに訪日客を6000万人の大台に乗せる目標を掲げ、東京都も3000万人の呼び込みを図る。改定された緊急対策推進基本計画では、外国人への情報発信強化などが打ち出されたが、避難先確保の具体的な数値目標などはない。災害のたび、言語の壁や文化・習慣の違いへの対応も課題とされてきたが、備えは十分なのか。
解説
近年、日本を訪れる外国人旅行者、いわゆる「インバウンド」の数は目覚ましい勢いで増え続けています。街を歩けば、様々な国の言葉が飛び交い、日本の文化や食事を楽しむ人々の姿を見かけるのは日常の風景となりました。政府も、東京オリンピック開催を機に、さらに多くの外国人旅行者を日本に招き入れる目標を掲げ、観光立国としての日本の魅力を世界に発信しています。
しかし、この増加の一方で、もしも首都直下地震のような大規模な災害が起きたら、どうなるだろうかという懸念が浮上しています。日本は地震が多い国であり、いつどこで大きな災害が起きてもおかしくありません。そんな時、言葉や文化の異なる外国人旅行者たちは、どのように身を守り、どこへ避難すれば良いのでしょうか。
もちろん、国や東京都もこの問題に無関心なわけではありません。例えば、災害時の対策をまとめた計画では、外国人旅行者への情報提供を強化するといった方針が打ち出されています。これは、災害が発生した際に、どの言語で、どのような情報を、どうやって伝えるかという課題に取り組むものです。スマートフォンアプリの活用や、多言語対応の防災情報サイトの整備などが考えられます。
しかし、専門家や関係者の間からは、「本当にこれで十分なのか?」という声も上がっています。情報提供だけでは、すべてが解決するわけではありません。例えば、避難所の場所が分かっても、そこが外国人にとって安全で快適な場所であるとは限りません。食事の習慣、宗教的な配慮、あるいは文化的な違いからくるストレスなど、日本人が想像もしないような問題が起こる可能性もあります。また、具体的な避難先の確保や、そこでの受け入れ体制について、具体的な数値目標が示されていないことも不安視されています。
過去の災害を振り返ると、外国人旅行者が言葉の壁にぶつかり、必要な情報が得られなかったり、避難所で孤立してしまったりといった事例が報告されています。このような経験を踏まえ、私たちはインバウンドを歓迎するだけでなく、彼らが安心して日本で過ごせるよう、あらゆる事態を想定した「おもてなし」の心を防災対策にも広げていく必要があります。単に数を増やすだけでなく、質を高める視点が今、求められているのです。
関連データ
今後の予測
今後、インバウンドの増加は続く見込みであり、それに伴い災害時の外国人対応の重要性は増すでしょう。一つのシナリオとしては、政府や自治体が多言語対応の防災アプリ開発や、主要観光地での多言語表示の強化、通訳ボランティアの育成などを加速させる可能性があります。これにより、情報提供の課題は一定程度解消されるかもしれません。しかし、避難所の具体的な受け入れ体制や、文化・習慣の違いへの対応は、各自治体や地域住民の理解と協力が不可欠であり、一朝一夕には進まないかもしれません。
別のシナリオとしては、企業や観光業界が自主的に外国人旅行者向けの防災サービスを強化する動きが出てくるかもしれません。例えば、ホテルや旅行会社が独自の避難計画を策定し、多言語での避難訓練を実施するといった取り組みです。これにより、官民連携での対策が進み、より実践的な対応が可能になる可能性もあります。しかし、その場合、サービス提供者による差が生じ、外国人旅行者が受けられるサポートにばらつきが出る懸念も残ります。
最も望ましいのは、政府が具体的な数値目標を伴う避難所整備計画を打ち出し、地域社会全体で外国人旅行者を受け入れる意識を高めることです。これにより、情報提供だけでなく、実際の避難生活における安全性と快適性が確保され、真の意味での「おもてなし」が実現されるでしょう。
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参考引用
“外国人への情報発信強化などが打ち出されたが、避難先確保の具体的な数値目標などはない。
― 産経新聞
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