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EVを宇宙に飛ばすのはムダじゃない 物語を武器にするイーロン・マスク (Books)
出典: 日経ビジネス (原典を開く)
ニュース概要
イーロン・マスク、スティーブ・ジョブズ、ジェフ・ベゾス……。天才イノベーターに共通する思考法を解剖した書籍『天才思考 世界を変えるイノベーションを生む10の思考法』から一部を抜粋・再編集してお届けする連載の第18回では、マスクがスペースXやテスラの経営で「物語思考」をどのように活用しているのかを取り上げます。
解説
イーロン・マスク氏が率いるテスラやスペースX。電気自動車(EV)を宇宙に飛ばすという、一見すると奇妙に思える行動の裏には、実は計算された戦略があります。それは「物語の力」を最大限に活用すること。
彼のビジネスは、単に高性能な製品を作るだけでなく、人々をワクワクさせるような「壮大な物語」を紡ぎ出すことで、多くの人を惹きつけています。例えば、テスラのEVが火星を目指すロケットに搭載された時、それは単なる宣伝活動ではありませんでした。「人類は宇宙に行ける」「EVは未来の乗り物だ」という、SF映画のような夢物語を、現実のものとして提示したのです。
このような「物語思考」は、顧客だけでなく、従業員や投資家にも大きな影響を与えます。単なる自動車メーカーやロケット会社としてではなく、「人類の未来を切り開く企業」という大きなビジョンを共有することで、優秀な人材が集まり、投資家もその夢に共感して資金を提供しやすくなります。スティーブ・ジョブズ氏がアップルで「Think Different(人と違う考え方をしよう)」というメッセージを掲げ、単なるコンピューターメーカーではなく、クリエイティブな人々のためのブランドを築いたのと似ています。
現代はモノがあふれ、技術だけでは差別化が難しい時代です。そんな中で、マスク氏が示すのは、「何を売るか」だけでなく、「どんな夢やビジョンを売るか」が重要だという教訓です。彼の物語は、私たちに「不可能を可能にする」という希望を与え、その結果として、彼の企業の製品が選ばれる理由にもなっているのです。
このアプローチは、私たちが日々触れるあらゆる製品やサービスにも応用できます。例えば、ある化粧品がただ肌を美しくするだけでなく、「自信を与え、新しい自分に出会う物語」を提供するとしたら、それは単なる消費以上の価値を持つでしょう。企業がどんな「物語」を語り、私たちをどんな「未来」に連れて行ってくれるのか。そんな視点でビジネスを見てみると、もっと面白く、もっと深く理解できるようになるはずです。
関連データ
今後の予測
イーロン・マスク氏の「物語思考」は、今後も彼のビジネス戦略の核となり続けるでしょう。一つのシナリオとしては、彼の語る物語がさらにスケールアップし、宇宙開発やAI、脳とコンピューターを繋ぐ技術など、よりSF的な領域での具体的な進展を伴うことで、人々の期待と投資を一層引きつける可能性があります。これにより、彼の企業は単なる営利企業を超え、人類のフロンティアを拡大する存在として、社会的な影響力をさらに高めるかもしれません。
別のシナリオとしては、物語の壮大さが先行し、技術的な実現が追いつかない、あるいは倫理的な問題が浮上するといったリスクも考えられます。この場合、一時的に世間の信頼を失い、株価やブランドイメージに影響が出る可能性もあります。しかし、彼のこれまでの実績から見ても、困難を乗り越えるための新たな物語を提示し、再び人々の心を掴む手腕は健在だと予想されます。
また、他の企業もマスク氏の成功を参考に、「物語思考」をビジネスに取り入れる動きが加速するでしょう。単なる製品の性能競争から、企業が提供する「夢」や「ビジョン」の競争へとシフトし、消費者はより感情に訴えかけるようなブランドを選ぶ傾向が強まるかもしれません。結果として、企業のコミュニケーション戦略やマーケティング手法は、よりクリエイティブで、感動的な物語を紡ぎ出す方向へと進化していくと考えられます。
ニュースタイムライン
2026年6月9日
いじめも発達障害も隠さない イーロン・マスクの「物語思考」 (Books)日経ビジネス
2026年6月9日
真山仁×田中孝幸対談(1) 田中氏「『チップス ハゲタカ6』は、戦後最良の地政学小説」 (Books)日経ビジネス
参考引用
“マスクがスペースXやテスラの経営で「物語思考」をどのように活用しているのか
― 日経ビジネス
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