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国内2026/3/3 8:10:00
「お金の体力」事前に把握し治療の選択広げよう 黒田尚子さんに聞く、がんの経済毒性

「お金の体力」事前に把握し治療の選択広げよう 黒田尚子さんに聞く、がんの経済毒性

出典: 産経新聞 (原典を開く)

ニュース概要

医療費などの出費に加え収入減など、がん治療中の家計への影響を指す「経済毒性」という言葉がある。乳がん経験があり、患者家計サポート協会(千葉)の顧問を務めるファイナンシャルプランナー、黒田尚子さんに、がんになってからお金で困らない備え方を聞いた。

解説

がんという病気は、私たちの体だけでなく、家計にも大きな負担をかけることがあります。この経済的な重荷を「経済毒性」と呼ぶのをご存知でしょうか。

「経済毒性」とは、がんの治療にかかる医療費はもちろんのこと、治療のために仕事を休んだり辞めたりすることで収入が減ってしまうこと、さらには通院のための交通費や、病状に合わせた食事の準備、特別な下着の購入など、様々な形で家計に影響が及ぶことを指します。病気と闘うだけでも大変なのに、お金の心配まで加わってしまうと、患者さんやそのご家族の精神的な負担は計り知れません。

乳がんを経験され、現在はファイナンシャルプランナーとして患者さんの家計をサポートしている黒田尚子さんの話は、私たちにとって非常に示唆に富んでいます。彼女は、がんになってからお金で困らないためには、事前に「お金の体力」を把握しておくことが重要だと指摘しています。

「お金の体力」とは、具体的にどのようなことでしょうか。これは、もし自分ががんになった場合、どのくらいの治療費がかかるのか、高額療養費制度などの公的な支援制度をどの程度利用できるのか、そして自分の貯蓄や保険でどのくらいカバーできるのか、といったことを事前に知っておく、ということです。もちろん、がんの種類や進行度によって治療費は大きく異なりますが、一般的な治療にかかる費用や、自分が加入している医療保険の内容などを確認しておくことは、いざという時の安心につながります。

特に重要なのは、医療費だけでなく「見えない出費」にも目を向けることです。例えば、抗がん剤治療による副作用で食事が摂りにくくなった場合、特別な食材や調理器具が必要になるかもしれません。また、治療による体力の低下で家事が難しくなり、家事代行サービスを利用することもあるでしょう。これらは医療費として直接計上されないため、見落とされがちですが、積み重なると大きな負担になります。

がんの治療は、日々進化しています。より効果的な治療法、副作用の少ない治療法など、選択肢は増えていますが、それが必ずしも保険適用内とは限りません。自費診療や先進医療を選択する場合には、さらに費用がかさむことになります。事前に家計の状況を把握し、「お金の体力」を鍛えておくことで、治療の選択肢を広げ、より良い治療を受けるための準備ができるのです。

病気は誰にとっても他人事ではありません。健康なうちから、もしもの時に備えてお金のことを考えておく。これは、自分自身や大切な家族を守るための、非常に大切な一歩だと言えるでしょう。

関連データ

年間がん医療費
約3兆円(国民医療費全体約45兆円のうち)
出典:厚生労働省「国民医療費の概況」
がん患者の自己負担額
治療内容や期間により大きく異なるが、高額療養費制度適用後も数十万円〜数百万円の負担が生じるケースも
出典:日本対がん協会、各医療機関情報
がん罹患による収入減
がん診断後の1年間で平均約100万円の収入減というデータも(治療内容や職種による)
出典:国立がん研究センター「がん体験者の悩みと支援に関する実態調査」
がん患者の離職率
診断後5年以内に約3割が離職または退職
出典:国立がん研究センター「がん体験者の悩みと支援に関する実態調査」
高額療養費制度の利用
自己負担限度額を超えた医療費が払い戻される公的制度。所得に応じて限度額が異なる。
出典:厚生労働省

今後の予測

がんの「経済毒性」に対する社会の認識は、今後さらに高まっていくと予想されます。一つ目のシナリオとしては、公的な医療費助成制度の拡充が挙げられます。現在の高額療養費制度に加え、がん治療に特化した新たな支援策や、治療中の収入減を補填するような制度が検討される可能性もあります。これにより、患者さんの経済的負担が軽減され、より多くの人が最適な治療を受けやすくなるでしょう。

二つ目のシナリオは、民間保険会社の役割の変化です。単に医療費をカバーするだけでなく、がん患者の生活全般を支えるような、よりきめ細やかな保障やサービスを提供する保険商品が増えるかもしれません。例えば、家事代行サービスやカウンセリング費用、さらには治療後の社会復帰支援なども含まれるようになる可能性があります。

三つ目のシナリオとして、企業における従業員の健康支援の強化が考えられます。がんを患った従業員が安心して治療に専念し、職場復帰できるような制度(治療と仕事の両立支援)がさらに普及し、企業側も経済毒性の問題に積極的に関与するようになるでしょう。これにより、個人の備えだけでなく、社会全体でがんの経済毒性に取り組む動きが加速すると予測されます。

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「お金の体力」事前に把握し治療の選択広げよう

産経新聞

がんの経済毒性

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