
<書評>まちづくりに当事者意識を持つには 『間(あわい)のまちづくり学』田中尚人著
出典: 産経新聞 (原典を開く)
ニュース概要
地元を紹介するとき、つい「何もないところ」と言いがちだ。根底には、暮らすまちを自らの言葉で説明できないという問題がある。景観まちづくりの施策に関わる著者が、まちづくりを「自分ごと」と捉える思考と実践を説く。
解説
「うちの町って、本当に何もないんだよね」
地元に住んでいると、ついついそんな言葉が出てしまうこと、ありませんか?
でも、よく考えてみると、これってちょっと不思議な話ですよね。だって、自分が毎日生活している場所なのに、その魅力を自分の言葉で説明できないなんて。
この「何もない」という感覚の裏には、実は「まちづくり」に対する、ちょっとした「他人ごと」意識が隠れているのかもしれません。景観まちづくりに携わってきた田中尚人さんの著書『間(あわい)のまちづくり学』は、そんな私たちに、「まちづくり」をもっと「自分ごと」として捉え、主体的に関わるためのヒントを与えてくれる一冊です。
本書で語られるのは、単なるきれいな街並みを作る方法論だけではありません。それ以上に大切なのは、そこに住む一人ひとりが、自分の住むまちをどうしたいのか、どうなってほしいのかを考え、行動すること。
例えば、地域のイベントに顔を出したり、小さなお店を応援したり、あるいは、ただ近所の人と挨拶を交わすだけでも、それは立派な「まちづくり」への参加です。そうした日々の小さな関わりが、まちの個性や魅力を形作っていくのです。
著者は、まちづくりを「間(あわい)」という言葉で表現しています。これは、公と私の間、個人と地域の間、過去と未来の間など、様々な「間」に生まれるつながりや関係性を大切にしようという考え方です。この「間」を意識することで、私たちはまちとの新しい関わり方を見つけられるかもしれません。
「何もない」と思っていた町も、視点を変えれば、そこに住む人々の営みや、地域ならではの歴史、隠れた魅力がたくさん見えてくるはずです。本書は、そんな「自分ごと」としてのまちづくりを、私たち一人ひとりが始められるような、温かく、そして力強いメッセージを届けてくれます。
今後の予測
本書は、地域住民がまちづくりに主体的に関わることの重要性を説いています。今後、地方創生や地域活性化といったテーマがますます注目される中で、本書で提唱されている「自分ごと」としてのまちづくりの考え方は、多くの自治体や住民にとって参考になるでしょう。
特に、地方では人口減少や高齢化が進み、地域コミュニティの維持が課題となっています。こうした状況下で、本書のような、住民一人ひとりが主体的に地域に関わる意識を高めるアプローチは、地域活性化の新たな糸口となる可能性があります。
一方で、すべての地域で住民が同じような関心や意欲を持つとは限りません。地域によっては、参加者の高齢化や、まちづくりに対する多様な意見の調整が難しいといった課題も予想されます。そのため、著者提唱の考え方を地域の実情に合わせてどのように応用していくかが、今後の成功の鍵となるかもしれません。また、行政やNPOなど、外部からの支援が、住民の当事者意識を育む上でどのような役割を果たすのかも、注目すべき点と言えるでしょう。
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参考引用
“まちづくりに当事者意識を持つには
― 産経新聞
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