
伊達公子×プロフェッショナル:AI時代の「本質的な価値」とは freee創業者、佐々木大輔氏
出典: 毎日新聞 (原典を開く)
ニュース概要
「AIが作った」と感じた途端、人はそこに価値を感じにくくなる――。freeeの佐々木大輔CEO(45)は、そう語る。だからこそ重要になるのが、人間らしさや感情、現場でしか得られない体験だという。女子テニス元世界4位の伊達公子さん(55)との対談後編では、AI時代の価値観や組織づくりについて語った。
解説
AI(人工知能)の進化が止まらない現代で、「人間だからこそ生み出せる価値とは何か?」という問いは、多くの人が漠然と感じていることかもしれません。会計ソフトを提供するfreeeの創業者、佐々木大輔さんの言葉は、この問いに対する一つのヒントを与えてくれます。
佐々木さんが指摘するのは、「AIが作った」と感じた瞬間に、人はその成果物に対する価値を見出しにくくなる、という人間の心理です。これは、私たちが無意識のうちに「手間暇がかかっていること」や「作り手の感情が込められていること」に価値を感じている証拠ではないでしょうか。例えば、手書きのメッセージとAIが自動生成したメッセージでは、内容が同じでも受け取る側の心に響く度合いが違う、といった経験は誰にでもあるはずです。
だからこそ、これからの時代に重要になるのは、人間ならではの「感情」や「現場でしか得られない体験」です。AIは膨大なデータを分析し、論理的な最適解を導き出すのは得意ですが、人の心を揺さぶるような感動や共感を生み出すことはまだ難しいとされています。テニスの元世界トップ選手である伊達公子さんとの対談で語られたように、スポーツの世界でも、選手の感情がこもったプレーや、観客との一体感が試合の魅力を何倍にも高めます。AIが完璧な戦略を提示したとしても、選手自身の人間性やドラマがなければ、そこまで熱狂は生まれないでしょう。
ビジネスの世界でも同じことが言えます。AIが効率化を進める一方で、顧客との信頼関係構築や、チーム内のモチベーション維持には、やはり人間同士のコミュニケーションや共感が不可欠です。例えば、AIが最適な提案書を作成できたとしても、それを顧客に届ける際の話し方、表情、ちょっとした気遣いといった「人間らしさ」が、最終的な成約に大きく影響します。
これは、私たちが日々の生活の中で「何に価値を見出すか」を改めて考え直すきっかけになります。情報過多の時代だからこそ、効率性だけでなく、温かみやオリジナリティ、そして「誰が、どんな想いで作ったか」というストーリーが、より一層求められるようになるのかもしれません。AIは便利なツールですが、あくまで「道具」であり、それを使う人間の「心」こそが、真の価値を生み出す源泉であると言えるでしょう。
関連データ
今後の予測
AIの進化は今後も加速し、多くの業務が自動化されることで、私たちはより一層「人間ならではの価値」を意識するようになるでしょう。一つのシナリオとしては、AIが定型業務やデータ分析を担い、人間は創造性、共感力、問題解決といった高度な思考や感情を伴う業務に注力する「棲み分け」が進むと考えられます。これにより、教育現場では、単なる知識の詰め込みではなく、批判的思考力やコミュニケーション能力を育むことに重点が置かれるようになるかもしれません。
別のシナリオとしては、AIが人間の能力を拡張する「協働」の形が主流になる可能性もあります。AIが下書きを作成し、人間が感情や経験に基づいて修正・加筆することで、より質の高い成果物が生まれるといった具合です。この場合、AIを使いこなすリテラシーや、AIの出力の限界を見極める力が重要になります。
一方で、AIが生成したコンテンツが溢れることで、本物と偽物の区別がつきにくくなる「情報の信頼性」の問題も深刻化するかもしれません。このため、情報の出所や作成者の意図を明確にすることが、これまで以上に求められるようになるでしょう。最終的には、AIを単なる道具として使いこなし、人間の感情や創造性を最大限に引き出す社会が理想的な未来像と言えそうです。
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