
日経平均「PER18倍」を鵜呑みにしてはいけない! 「もう1つのPER」が警告する日経平均"7万円相場"の危うい実態 | 政治・経済・投資 | 東洋経済オンライン
ニュース概要
日経平均株価の上昇が著しい。6月18日には終値ベースで史上初めて7万円台に突入した。日本の株式市場は過熱しているのだろうか。本稿では、現在の株価水準が企業利益との関係において正当化できるものか否か、…
解説
最近、テレビやネットのニュースで「日経平均株価が史上最高値を更新!」という話題をよく耳にしますよね。6月18日には、ついに7万円台に突入したと報じられ、日本経済の勢いを感じる人も多いかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。この株価の上昇、本当に企業の実力に見合ったものなのでしょうか?それとも、まるで熱気球のように、実体のない熱狂だけで膨らんでいるだけなのでしょうか?
株式市場の健康状態を測るのに、よく使われるのが「PER(株価収益率)」という指標です。これは、株価が企業の稼ぐ力に対してどれくらいの水準にあるかを示すもので、ざっくり言うと「株価が1株あたりの利益の何倍になっているか」を表します。一般的に、PERが高いと「株価が割高」、低いと「割安」と判断されることが多いです。
今回注目したいのは、このPERの見方です。実は、一口にPERと言っても、いくつかの計算方法があるんです。普段ニュースで報じられるPERは、企業の「純利益」という数字をもとに計算されることが多いのですが、実はこれだけでは見えにくい「もう一つの顔」があります。
それが、企業が本業でどれだけ稼いでいるかを示す「営業利益」や「経常利益」をベースにしたPERです。純利益は、特別損失(例えば、リストラ費用や災害による損失など、一時的に発生する大きな出費)や税金の影響を受けるため、企業の本来の稼ぐ力を正確に反映しない場合があります。
例えば、ある年にたまたま大きな土地を売却して莫大な利益が出たとしても、それは一時的なもので、来年も同じように稼げるわけではありません。しかし、純利益ベースのPERだけを見ていると、その一時的な利益によって株価が「割安に見えてしまう」ことがあるのです。
一方、営業利益や経常利益は、企業の通常のビジネス活動からどれだけ利益を生み出しているかを示します。これらを基にしたPERを見ることで、より本質的な企業の稼ぐ力と株価の関係を把握できるというわけです。
現在の日本株市場では、純利益ベースのPERを見ると、一見するとそこまで過熱しているようには見えないかもしれません。しかし、もう一つのPER、つまり企業の「本業の稼ぐ力」を基準に見てみると、実は株価がかなり高値圏にある可能性が指摘されています。
これは、企業の利益の中身が、本業での成長によるものだけでなく、一時的な要因や、コスト削減によるものなども含まれている可能性を示唆しています。もしそうだとすれば、現在の株価の上昇は、企業の持続的な成長によって支えられているというよりも、短期的な要因や市場の期待感が先行している部分が大きいのかもしれません。
私たち投資家や、日本の経済の動向を見守る人々にとって、この「もう一つのPER」が示す警告は非常に重要です。株価の数字だけを見て一喜一憂するのではなく、その裏にある企業の実態や、利益の質までしっかり見極める力が求められていると言えるでしょう。
関連データ
今後の予測
今後の日経平均株価の動きについては、いくつかのシナリオが考えられます。
まず一つ目は、「本業の稼ぐ力」に見合った株価への調整シナリオです。もし現在の株価が、一時的な要因や期待感だけで押し上げられている部分が大きいとすれば、今後、企業の業績が期待を下回ったり、経済全体の成長が鈍化したりする局面で、株価が調整局面に入る可能性があります。特に、金利上昇や海外経済の減速といった外部要因が重なると、調整の幅が大きくなることも考えられます。
二つ目は、「企業の本質的な成長による株価上昇」シナリオです。日本企業が構造改革を進め、生産性の向上や新たな事業領域への投資によって、持続的に本業の利益を増やしていくことができれば、現在の株価水準が実力に伴ったものとして正当化され、さらに上昇を続ける可能性もあります。この場合、市場は企業の努力を評価し、海外からの資金流入も継続するでしょう。
三つ目は、「緩やかな調整と底堅さ」シナリオです。一部の過熱感は冷めるものの、企業の配当政策の強化や自社株買いの継続、円安による企業収益の下支えなどにより、株価が大きく下落することなく、底堅く推移する可能性も考えられます。この場合、業績が良い企業とそうでない企業との間で、株価の二極化が進むかもしれません。投資家は、より一層、個々の企業の「本質的な価値」を見極める力が求められるようになるでしょう。
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