
トヨタ超えのキオクシア、半値になったフジクラ 同じAI銘柄なのに明暗が分かれた理由
出典: 産経新聞 (原典を開く)
ニュース概要
AIデータセンター投資ブームを追い風に、ともに過去最高益を更新したキオクシアとフジクラ。しかし市場の評価は真逆だった。時価総額45兆円へ駆け上がったキオクシアと、高値から半値近くまで売り込まれたフジクラ。両社の差は何か。
解説
最近、AI(人工知能)関連のニュースを耳にしない日はないですよね。特に、AIを動かすための「データセンター」への投資が世界中で活発になっています。このブームに乗って、日本の企業でも業績を大きく伸ばしたところがたくさんあります。
今回ご紹介するキオクシアとフジクラも、まさにその波に乗った企業。どちらも過去最高の利益を叩き出し、一見すると順風満帆に見えます。ところが、株式市場での評価は大きく異なりました。キオクシアは時価総額(会社の価値を株価で計算したもの)がなんと45兆円にまで跳ね上がり、あのトヨタ自動車をも超える勢いを見せました。一方でフジクラは、一時的に高値をつけたものの、そこから株価が半分近くまで下がってしまったのです。
同じAI関連銘柄なのに、なぜこんなにも明暗が分かれたのでしょうか?
その大きな違いは、「何を作っているか」と「どこに強みがあるか」にあります。キオクシアは、スマートフォンやデータセンターで使われる「NAND型フラッシュメモリ」という記憶装置のメーカーです。これは、AIが大量のデータを処理する上で欠かせない、いわば「データの倉庫」のようなもの。AIの進化には、より高速で大容量のメモリが必須なので、キオクシアの製品はAI時代のインフラを支える重要な部品として、その価値が非常に高く評価されました。しかも、世界的に見ても数少ない大手メーカーの一つであるため、供給が限られていることも、その価値を押し上げた要因です。
一方のフジクラは、光ファイバーケーブルや電線、電子部品などを手掛ける企業です。光ファイバーは、データセンター内で情報を高速にやり取りするために必要不可欠な「情報の道」を作る技術で、これもAI時代には欠かせません。しかし、光ファイバーケーブルの分野は、技術力のある競合他社が多く、価格競争が激しい市場でもあります。また、フジクラの技術は、AIデータセンター全体で見ると、あくまで「インフラの一部」という位置づけになりがちです。キオクシアのメモリのように、AIの性能に直接的に影響を与える「コア部品」と見なされにくかったのかもしれません。
さらに、投資家の期待値も大きく影響します。キオクシアは、メモリの需要が今後も爆発的に伸びると予測されており、その成長性への期待感が株価に反映されました。対してフジクラは、確かに堅実な技術を持っていますが、その成長の「伸びしろ」がキオクシアほどではないと判断された可能性があります。つまり、AIブームという同じ追い風に乗っても、その風をどれだけ「自分たちの船」の推進力に変えられるか、そしてその船がどれだけ遠くまで行けるか、という見通しで差がついたと言えるでしょう。
このように、同じAI関連という括りでも、その事業内容や市場での立ち位置によって、株価の評価は大きく変わるのです。投資家は、単に「AI関連」というキーワードだけでなく、その企業がAI時代のどの部分で、どれだけ独自性のある価値を提供できるのかを見極めている、ということですね。
関連データ
今後の予測
今後のAI関連市場では、今回のような明暗がさらに鮮明になる可能性があります。一つのシナリオとしては、AIの進化がさらに加速し、より高性能・大容量のメモリや半導体、そしてそれらを効率的に冷却する技術など、AIの「頭脳」や「心臓」に直接関わる部分の需要が引き続き高まるでしょう。この場合、キオクシアのようなコア技術を持つ企業は、さらなる成長が期待されます。
別のシナリオとしては、AIデータセンターの建設が一段落し、インフラ整備から運用効率化のフェーズに移行する可能性も考えられます。この場合、光ファイバーケーブルのようなインフラ部品の需要は安定するものの、爆発的な伸びは鈍化するかもしれません。しかし、データセンターの省エネ化や高効率化に貢献する技術、例えば、より低損失なケーブルや新しい冷却システムなどを提供できる企業は、新たな評価を得る可能性があります。
また、AIの応用分野が広がるにつれて、これまでAIとは直接結びつかなかったような産業にも新たなビジネスチャンスが生まれるでしょう。例えば、AIが生成する大量のデータを安全に保管・管理するセキュリティ技術や、AIの倫理的な利用をサポートするツールなど、周辺技術やサービスを提供する企業にも注目が集まるかもしれません。重要なのは、単にAI関連というだけでなく、その企業がAIエコシステムの中でどのような「独自価値」を提供できるか、という視点です。
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