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「毎朝同じ時間に通勤するのが苦痛」8年で15もの職業を転々…労働に不向きな青年が大作家・江戸川乱歩になるまで | ビジネス | 東洋経済オンライン
ニュース概要
文学紹介者・頭木弘樹さんの好評連載「ビジネスと人生は絶望に満ちている」。今回は、江戸川乱歩の名言です。フレックスやリモートワークが広まったとはいえ、「決まった時間に出勤する」ことが必要な業種は多…
解説
皆さんは、毎朝同じ時間に起きて会社に行くことに、ふと疑問を感じたことはありませんか? 今回は、そんな「決まった時間に出勤する」という働き方に苦痛を感じ、なんと8年間で15もの職を転々とした青年が、やがて日本を代表する大作家、江戸川乱歩になったというお話です。
江戸川乱歩と聞くと、名探偵明智小五郎や少年探偵団を生み出した、ミステリー文学の巨匠というイメージが強いでしょう。しかし、彼の若い頃は、現在の私たちと何ら変わらない、働き方に悩む一人の若者でした。彼は郵便局員、新聞記者、出版社勤務など、さまざまな職業を経験しますが、どれも長続きしません。特に彼が嫌ったのは、「毎日同じ時間に同じ場所へ行く」というルーティンワークでした。これは、現代の働き方改革で議論される「ワークライフバランス」や「柔軟な働き方」といったテーマにも通じる問題意識と言えるでしょう。
彼がこれほどまでに働き方に苦悩したのは、彼の個性と当時の社会の働き方が合わなかったからです。明治から大正にかけての日本は、産業が発展し、工場やオフィスで多くの人が働く時代へと移り変わっていました。そこでは、時間厳守や規律が重んじられ、個人の自由よりも組織の効率が優先される傾向がありました。このような環境は、創造性を重んじ、自身のペースで物事を進めたい乱歩のようなタイプには、息苦しいものだったのかもしれません。
しかし、乱歩は自分の「労働不適合」を嘆くだけで終わりませんでした。彼は最終的に、自分の興味と能力が最大限に活かせる「作家」という道を見つけます。文章を書くという仕事は、締め切りこそあれ、働く時間や場所を比較的自由に選べます。彼が自身の苦悩の中から見出したのは、社会の型にはまらない生き方、そして自分に合った働き方を見つけることの重要性でした。
現代社会では、リモートワークやフレックスタイム制が普及し、働き方の選択肢は増えました。しかし、それでも多くの人が、会社が決めた時間に拘束される働き方に疑問を感じています。乱歩の物語は、私たちに「本当に自分に合った働き方とは何か?」と問いかけ、多様な働き方が求められる現代において、個人の特性を理解し、それに合わせた環境を自ら作り出すことの大切さを教えてくれるのです。
関連データ
今後の予測
江戸川乱歩の事例は、個人の特性と働き方のミスマッチが、才能の開花を妨げる可能性を示唆しています。今後の社会では、テクノロジーの進化と価値観の多様化により、さらに柔軟な働き方が求められるでしょう。
一つのシナリオとしては、AIや自動化の進展により、定型業務が減少します。これにより、創造性や問題解決能力といった人間ならではのスキルがより重視され、個人の裁量で働くフリーランスやプロジェクトベースの働き方が主流になるかもしれません。企業側も、従業員のエンゲージメントを高めるため、よりパーソナライズされた働き方を提案するようになるでしょう。
別のシナリオとしては、現在の「会社に属して働く」というモデルが根強く残る一方で、副業・兼業が一般化し、複数の仕事を持つことが当たり前になる可能性も考えられます。これにより、一つの仕事で感じる不満やストレスを、別の仕事で補完したり、自己実現の場を見つけたりする人が増えるかもしれません。いずれにせよ、乱歩のように自分の「好き」や「得意」を追求し、それを仕事に繋げる力が、より重要になっていくと考えられます。
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