
「3DMark」のArm版Windows対応が強化 ~「Speed Way」と「Port Royal」にネイティブ版が追加/メッシュシェーダー機能テストやDirectXレイトレーシング機能テストなどもArm対応
出典: 窓の杜 (原典を開く)
ニュース概要
フィンランドのULは、3Dベンチマークソフト「3DMark」のアップデートを6月3日に実施した。このアップデートでは、Arm版Windowsへのサポートが強化されている。
解説
皆さんは、パソコンの性能を測る「ベンチマークソフト」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
車の燃費が良いか悪いか、家電の消費電力が少ないか多いか、といった性能を比較するように、パソコンの世界でも「このパソコンはどれくらい速いのか?」「ゲームを快適に動かせるのか?」といった性能を客観的に測るツールがあります。その代表格が、今回アップデートされた「3DMark」というソフトです。
今回注目すべきは、この3DMarkが「Arm版Windows」への対応を強化したという点です。Arm版Windowsと聞いてもピンとこない方もいるかもしれませんね。簡単に言うと、これまで主流だったインテルやAMDのCPUとは異なる「Arm」という種類のCPUを搭載したパソコンで動くWindowsのことです。スマートフォンやタブレットで使われているCPUの多くがArm系なので、そちらの方が馴染み深いかもしれません。
なぜこのArm版Windowsへの対応強化が重要なのでしょうか?それは、パソコンの世界で新しい波が来ているからです。これまでパソコンの性能は、主にインテルやAMDのCPUが引っ張ってきました。しかし、近年、特にバッテリー持ちの良さや発熱の少なさで強みを持つArm系のCPUが、パソコンの世界でも存在感を増してきています。Appleが自社製のArm系チップ「Mシリーズ」でMacの性能を飛躍的に向上させたのは記憶に新しいでしょう。
Windowsを開発するマイクロソフトも、このArmの波に乗ろうとしています。Arm版Windows搭載のパソコンは、スマートフォンで培われた省電力技術を活かし、一日中使えるバッテリー持ちを実現したり、ファンレス設計で静かに動作したりと、これまでのパソコンとは一味違う体験を提供しようとしています。しかし、新しい種類のCPUが出てくると、これまで動いていたソフトがそのまま動かせない、性能を最大限に引き出せないといった問題が起こりがちです。
そこで、3DMarkのようなベンチマークソフトがArm版Windowsにしっかり対応することは、非常に大きな意味を持ちます。ゲームやグラフィック処理といった高い性能が求められる分野で、Arm版Windowsパソコンがどれくらいの力を持っているのか、客観的な数値で比較できるようになるからです。これにより、開発者はArm向けにソフトを最適化する際の目標設定がしやすくなり、消費者は新しいArm版Windowsパソコンを選ぶ際の判断材料が増えます。
今回のアップデートでは、特に負荷の高いグラフィック性能を測る「Speed Way」や「Port Royal」といったテストがArm版Windowsにネイティブ対応しました。これは、Arm版Windowsが最新のゲームや高度なグラフィック処理にも対応できるポテンシャルを持っていることを示唆しています。まるで、新しい種類のエンジンを積んだスポーツカーが、従来のエンジンを積んだ車と同じ土俵でタイムを競えるようになったようなものです。
私たちは今、パソコンの進化の大きな転換点に立ち会っているのかもしれません。Arm版Windowsがこれからどのように普及し、私たちのパソコン体験をどう変えていくのか、今後の動向から目が離せませんね。
関連データ
今後の予測
Arm版Windowsの普及は、いくつかのシナリオが考えられます。
まず、最も楽観的なシナリオとしては、今回の3DMarkのような主要ベンチマークソフトの対応強化を皮切りに、ゲームやクリエイティブ系ソフトのArm版Windowsへの最適化が急速に進むでしょう。これにより、消費者はバッテリー持ちが良く、静かで高性能なArm版Windows PCを積極的に選択するようになり、市場シェアを大きく伸ばす可能性があります。開発者もArm版Windows向けの開発に注力し、エコシステム全体が活性化するでしょう。
次に、現実的なシナリオとしては、Arm版Windowsは特定のニッチな市場、例えばビジネス用途やモバイルワーク用途で強みを発揮しつつ、ゲーミングPCやハイエンドなクリエイティブワークステーションといった分野では、引き続きインテルやAMDのCPUが主流であり続けるでしょう。互換性の問題や、既存の膨大なWindowsアプリケーション資産をArmに最適化する時間が必要となるため、徐々に浸透していく形です。しかし、徐々にその性能と効率の良さが認められ、数年かけて市場での存在感を高めていくと予想されます。
最後に、最も悲観的なシナリオとしては、互換性の問題が解消されず、また従来のCPUとの性能差を埋められないまま、市場での存在感を確立できない可能性もゼロではありません。特に、既存のアプリケーションの「エミュレーション」(従来のCPU向けソフトをArm上で動かす技術)の性能がユーザーの期待に応えられない場合、普及は停滞するでしょう。しかし、Microsoftが強力に推進している現状を考えると、この可能性は低いと考えられます。
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